CASE 05 · 72歳女性 · Q1/5
深夜の救急搬送
午前2時過ぎ、救急隊からのホットラインが鳴る。「72歳女性、自宅で全身痙攣。家族が発見、救急要請」。数分後、ストレッチャーで運ばれてきた彼女は、まだ四肢をぎこちなく突っ張らせ、呼びかけにも反応が鈍い。 付き添った娘さんが震える声で言う。「肺の小細胞がんで通院しています。ここ数日、ほとんど食べられなくて、水ばかり飲んでいました」。 モニターを装着し、気道を確保しながら、血液ガスと電解質の緊急検査を出す。痙攣している高齢女性——鑑別は多いが、悪性腫瘍の既往と水ばかり飲んでいたという情報が、ひとつの病態を強く示唆する。数分後、検査値が病態を名指しすることになる。