CASE 08 · 58歳女性 · Q1/4
外来の午後、健診結果を手に
午後の一般内科外来。受付から回ってきたのは、健診結果の紙を握りしめた58歳の女性だ。「先生、コレステロールが高いって言われて……去年までは正常だったのに」。渡された用紙にはLDL-C 182mg/dLと赤字が並ぶ。 問診を進めると、訴えはそれだけではなかった。「最近どうにもだるくて、寒くて仕方ないんです。便秘もひどくて、食事は変えていないのに体重が3kgも増えて」。声はどこか嗄れ、皮膚は乾いている。本人は「もう歳だし、更年期のせいだと思って」と笑う。 脈を取ると52回/分の徐脈。下腿を押しても指の跡が残りにくいむくみがあり、アキレス腱反射は戻りが遅い。新規のLDL高値と、この全身症状。『コレステロールの薬を出して終わり』にしてよいのか——一枚の健診結果の裏に、治療で変わりうる病態が潜んでいないかを問う場面だ。