CASE 07 · 32歳女性 · Q1/5
午後の外来
午後の一般内科外来。予約の合間に入ってきたのは、どこか落ち着かない様子の32歳女性だった。椅子に座っても膝が小刻みに揺れ、問診票を書く手元のペンがかすかに震えている。 「このところ、胸がドキドキして、手の震えが止まらないんです。夜も眠れなくて……たぶん仕事のストレスで、不安症みたいなものだと思うんですけど」。本人はそう言って、安定剤でももらえればと控えめに切り出した。 動悸・振戦・不眠。たしかに不安障害でも説明はつく。だが、よく話を聞いていくと、他にも気になる訴えが重なってくる。『痩せたいわけではないのに、この3か月で5kgも落ちてしまった』。食欲はむしろ増えているという。暑がりになり、汗もひどい。診察室で測った安静時の脈は108。ありふれた主訴の奥に、見落としてはならない内分泌の病態が潜んでいないか。