CASE 11 · 48歳男性 · Q1/4

一般外来の午後

午後の一般外来。48歳の男性が『ここ数か月、両手のしびれが強くて』と訴えて入ってきた。夜間に増悪し、朝に手を振ると楽になるという。手首を叩くとしびれが放散し、手根管症候群を思わせる所見がある。 整形外科的な一手で終わらせてもよさそうだが、問診を広げると雰囲気が変わってきた。『そういえば結婚指輪が年々きつくなって、もう外せない。靴も二サイズ上がりました』。顔をよく見ると眉弓と下顎が張り出し、歯と歯の間が開いている。妻からは『いびきがひどく、昼間よく居眠りする』と言われ、健診では今年から血糖と血圧が高いと指摘されたばかりだという。 手のしびれという入口の奥に、数年かけて静かに進んだ全身の変化が並んでいる。一つひとつは加齢や体質で説明できてしまう——だからこそ束として捉えられるかが問われる。